皆さんこんばんは, シンです.
一昨日は地震大変でしたね. 10年前を思い出しました.
私は奇しくも10年前の震災時と同じ友人の家におり, 少し当時のトラウマを思い出しました.
幸い, 福島にいる仲間も体は無事だった様で, とりあえずは一安心です(職場は物が落ちて大変そうでしたが).
今のところ大きな余震は来ていない様ですが, 少しキナ臭い感じもするので, 念のため備えていましょう.
さあ今回もミャンマーについて語りたいと思います.
前回はクーデターの概要とその戦術的な話に絞って語ってきました.
今回は, 色々また分かってきた情報を元に, ミャンマーの国際関係的な今後の展望と日本の姿勢について述べていきます.
まずはミャンマーの国際関係的な現状を話します.
アメリカのバイデン政権はミャンマー政府やその要人, また軍関係の企業に制裁を加えることを発表しており, EU諸国も基本的にそれに従う格好となっています.
ただこれは単純にアメリカ国内の資産を凍結したり, 輸出規制をかけるといった限定的なものなので, その実効性も限定的でしょう. ポージングの意味が強いです.
また日本を含むG7としても今回のクーデターへの批判を公式に発表しています.
それに対して中国は公には今回のクーデターに対して厳しい批判はしておらず, “平和的に解決することを願っています”という抑制的な態度を貫いています.
これは, 軍を支援するということを表立って発表してしまうと国際社会から総スカンを食らうだけでなく, ただでさえ中国嫌い率が異常に高いミャンマーの国民感情に更なる油を注いでしまうため, 大したことは言わない様に我慢しているというのが実態と思われます.
前回ポストでは, これまで中国との外国関係のみを実質的に重視してきた軍部の歴史的な姿勢と, 2017年以降のロヒンギャ問題を機に投資額を減らしてきたバカタレ欧米社会, そしてそこに更につけ込んできた中国の話をしました.
つまりこのまま軍政が続くことは, 西側社会からの投資減少, 中国からの投資増加および中国の属国化への道を辿ることを端的に意味します.
それにしても, もうここ数年ずっと思っているのですが, 欧米のアジア政策って, なんでこんなに音痴というかトンチンカンなんでしょうか.
欧米社会がこのままミャンマーが軍政を続ける限り投資をしない!という姿勢を貫くことで, 力の空白に中国が付け入る隙を与えるだけであることがまだ理解できていない様です.
地政学的にミャンマーが中国に取り込まれることのヤバさは以前のポストでも述べましたが, 中国がインド洋を通らず, またマラッカ海峡という地政学上のチョークポイントを通らずにアジアの海の覇権を握る手立てを与えてしまうのです.
そして実際に2017年に雲南省とミャンマー北部の国境を接している部分の資源パイプラインは完成し, 実質的に中国一帯一路の実現に大いなる貢献をしています.

このパイプラインの何がヤバいかというと, 中央政府のあるネーピードーや最大都市ヤンゴンは避け, 中央政府とケンカをしていて簡単には手を出せない少数民族の自治政府の管理下を上手く通っている点なんですよね.
もちろん今回のケースは歴史的な関係性が深く関わっているので一概には言えませんが, 中央との関係性が上手くいっていない時に自治体レベルにアプローチするのは中国共産党の常套手段です.
実際ミャンマーの国民達も, その様な軍と中国の関係性を知っているため, デモの中で軍に対してだけでなく中国に対しての批判も数多く行っています.
そして裏に中国がいると気づいている国民は, 徐々に香港やタイなどの若者活動家たちと結託し始めています.
香港が中国共産党によって締め上げられてしまったことは周知だと思いますが, タイでも中国共産党の後押しする軍に抵抗する動きが活発化しており, その中国がバックにいる強硬的な組織に対する活動家たちで国際的な連携を取っている様です.
また東南アジア全体としても, やっとかよと思うのですが, 中国に対する信頼感情が落ち, 米国と日本に対する信頼度が上がっているという報告も出ています.
この動きには僅かながら期待を寄せておきましょう.
さあここで, 日本について述べていきます.
結論から言うと, 日本勢が取るべき姿勢は, この断絶した欧米系(≒NLD, スーチーさん)と中国系(≒軍)の間を取り持ちつつ徐々に自由化, 民主化に導いていくことです.
これは, 欧米系にも中国にも, 一般のミャンマー国民にもできない, 日本にしかできないであろう大変な仕事です.
と言うのも, 日本は世界でも唯一と言って良いほど, 軍とNLD側どちらにもパイプのある国だからです.
もちろんスーチー氏側のNLDが政権を握ってからも投資を活発化させており, 2017年のロヒンギャ問題が起きミャンマー政府が欧米社会から袋叩きに遭った際にも, 継続して日本政府はある程度の理解を示してきました.
もはや中国にも欧米にもできない役割を, 日本は担うことができるのです(実はこのメッセージはロヒンギャ以降ずっとミャンマー政府が出していたヘルプメッセージでもありました).

ミンアウンフライン司令官も当時の安倍総理を表敬訪問しています.
そう言えば先週, キリンホールディングスがミャンマー現地企業との合弁を解消することを発表しましたね.
この是非は, 正直なところ微妙です.
長期的に見れば, まあ民主化を応援すると言うことで良いのですが, 軍と関係のある企業全てを潰すという流れになってしまうと, あまりに劇薬で恐らく一番困るのはミャンマー国民です.
ちなみにキリンとしては, ミャンマーから完全に撤退するわけではなく, 新しい合弁先を探す様です.
ただ, この様に軍を完全に敵に回す形になってしまうと, ミャンマー国内で生き残っていけるのか不安です.
ミャンマーで国軍と上手くやらないというのは本当にかなり致命的なのです.
キリンの合弁ビールはミャンマー国内でビールの8割のシェアを持っており, 私が好きなミャンマービール(Myanmar Beer), ダゴンビール(Dagon Beer), マンダレービール(Mandalay Beer)も全て今後飲めなくなってしまうのでしょうか…
そう言えば現在, ミャンマー人の間ではこの様に軍に関係のある製品の不買活動が盛んになっており, 上記のビールも誰も飲んでいない様です.
そして実際に売り上げもガタッと落ちている.
週末に都内のミャンマー料理屋でミャンマービールを頼んだところ, 店員さんにも隣のお客さんにも少し怒られました笑
今は皆さんアサヒビールを飲んでいる様です.

欧米社会は日本の今回の動きに姿勢に対してめちゃくちゃ落胆しており, アメリカ系メディアもヨーロッパ系メディアも日本を批判的に見ているのですが, 中国も日本のことを欧米寄りだー!とかなり批判しているので, 逆に日本の動きをかなり警戒しているのでしょう笑
今回のクーデターが起きた遠因の一つとして, スーチー氏側のNLDとミンアウンフライン司令官などを中心とする国軍の主流派の人たちの間の関係性が断絶してしまったことが挙げられています.
これまでは前大統領のテインセイン氏などの軍の改革派の人たちがその調整役を担っていたのですが, 2015年選挙でそういった人たちが軒並み落選してしまったんですよね.
なので, この断絶状態を克服し, お互いの対話を調整していくことが日本政府には求められているのです.
タイの状況なんかを見ていると国軍の支配は長く続くのではないかと心配になる方もいるとは思いますが, これまで2011年以降権力移譲に積極的だった国軍の姿勢も鑑みて, 少しオプティミスティックに状況を見ていきます.
現在国軍は, 再選挙と権力移譲を約束しているので(まあこれが国軍の大いなる影響下にある状態で行われたらブチ切れますが), 一旦はそれを少し信じてみようと思います.














