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ミャンマー国軍って何がしたいんや!?

ミャンマー国軍って何がしたいんや!?

 こんばんは, シンです.
大変ご無沙汰しております.
ここのところ社会の歯車と化しており, 中々時間を作れずにおりました.
明日は休みを取りましたので, 久々の仕事やミャンマー関連が理由ではない夜更かしができる機会を活かしてポストしたいと思います.

 まず最近思っていることなのですが, URLがスッキリして良いという理由だけで, ここ最近のポストは全てアルファベットのタイトルをつけていたのですが, 読者の方のほとんどが日本語話者であり, 検索のほとんどが日本語で行われているという現状を踏まえてタイトルは日本語に戻します笑
URLは別に短縮すれば良いので…
タイトル繋がりで内容に入っていく前に, このような状況で息苦しさを感じている人, 後ろ向きになってしまっている人, 人を傷つけてしまい自己嫌悪に陥ってしまっている人たちに清木場俊介の「今。」という唄を聴いて欲しいです.
世に良く聞くJASRAC関係の大人の事情でショート版しかYoutubeには上がっておらず, CD音源の方が100倍良いですが, 少しは元気が出るはずです.

https://www.youtube.com/watch?v=yix1_pK1HLc

 さてミャンマー情勢について語っていきます.
どうして今回のクーデター(戦略学的にはクーデターは正しい単語ではありませんが, 便宜上クーデターと呼びます)がなぜ起きたのか, 他の外国勢力の関与は?という点をスッキリ解説してくれている論文が日本語で発表されたのでシェアしますね.
日本におけるミャンマーの政治経済の研究者としては3本の指に入るであろう中西嘉宏先生が6ページでスッキリまとめて下さっています.
簡単に要約すると
①クーデターのきっかけは「国内権力闘争の帰結」
②軍が国内で既得権益を減らしたくなかった, 裏で中国が手を引いているというのはあまり考えられない
③Z世代の抵抗が激しく, 国際社会の目は厳しい
④日本政府はもっと積極的役割を演じよ

というところですね.
この論文や他で入手した情報を元に個々の項目について語っていくのは次回以降に譲りたいと思います.

 さて話は移り先日, 最大都市のヤンゴンから車で1時間ちょっと行ける古都バゴー(Bago)で大規模な弾圧が起きましたね.
およそ80人以上が国軍によって殺害されたとされております.
私が現地で民主化の活動をしている友人から聞いている限りだと, 公式に発表されている人数に加えて何人もの方が亡くなっており, 100人以上はいっているというのが彼らの間では常識となっているみたいです.
バゴーは立地としてはヤンゴンから遠くはないので分からなくはないですが, 他にもかなり田舎なところでかなりの人々が殺されております.
元々ロヒンギャとかなんとか欧米諸国から言われる前から, 国軍と少数民族は何十年も紛争を繰り返しており, その戦闘が純粋に継続している地域もあるのですが, 今回のCDM (Civil Disobedience Movement) を抑え込むために, なんでこんな場所で!?という事件がいくつもあります.
詳しい人から聞いた話ですが, どうやら各地域に市民のCDMを支援している資産家の人たちが各地におり, その資産家の周りに集まっている人たちを一掃する目的でそのような弾圧を行っているようです.
本当に流れてくる動画なんかを見ていても, 国民の命を守るための軍が国民の命をいとも簡単に奪う姿を見るのは非常に辛いものがあります.
そのような動画を直接的にアップするのは悲惨な生々しいものに慣れていない日本人には厳しいと思ったので, アートにして抵抗の意志を表しているYangon.designというイケている人のことを紹介しようと思ったのですが, どうやらバンされてしまったみたいですね…

 現在日本国内でどのように認知を広げていけば良いのだろうか…と日々考えているのですが, 中々難しいものがありますね. AIDMAの法則でいくと, もちろん認知も足りていないのですが, その先のどの段階も足りていないんですよね…

https://torteo.jp/media/atcl-6379/
いやむしろ今でもちょこちょこ報道はされているので, Attentionのところはある程度クリアと看做すべきでしょうか.
Interestを得る工程以降の工夫, Attentionからの繋ぎを考えることに注力すべきなんですかね…
http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_2104_kameyama.html
亀山仁さんが中野でやっている写真展, 「日常のミャンマー」です.
先月池袋で在日ミャンマー人が行っていたデモンストレーションの一幕

様々なイベントに顔を出したり, 自分自身色々考えてみて少し分かってきたのは, 「ポップさ」というものが少しキーワードになる気がしています.
自分との共通点と言い換えても良いかも知れません.
上記の亀山さんの写真展について言えば, 写真好きという共通点, 下の写真で言うと, 劇好きという共通点から, 今ミャンマーで起こっている悲劇について, ミャンマー人の心の中で起きている負の感情変化を少し自分事化してもらえないかなと模索しております.

 さて, 日本国内での認知活動については, これからも精進していくということで, 最後にタイトル回収を徐々にしていきます. 結論から言うと回収はしきれません笑
前述の通り, 国軍がクーデターを起こしたきっかけは少し見えてきました.
ミャンマーの国をどう作っていくかと言う, NLDとの権力闘争だと.
そして来週24日にジャカルタで開かれるASEANサミットに, 国軍トップのミンアウンフライン司令官が出席することが発表されました.
クーデターから2ヶ月経ち, 市民の大半が抵抗をやめない, 欧米諸国をはじめとして, 日本やASEANを含む国際社会からは厳しい視線を注がれていると言う現状を踏まえて, また国軍と仲の良い中国がスーチー政権ともしっかりと連携の道筋をつけていたと言う事実が明らかになっていることを受けて, ここで対外的に何を求めているかということはある程度分かってくるのではと思っております.
クーデター後かなり積極的に動いているシンガポールの外相が, 現在のミャンマーの状態に対してASEANが果たすべき役割は大きいと述べておりますので, そこそこ期待したいと思います.
ASEAN憲章の内政不干渉の原則と, 全会一致と言う不完全性, 中国寄りのラオスやカンボジア等の国の存在を踏まえると, 何ができるのかという気持ちにはなってしまいますが…
ただ今はそんな小さな希望にも期待を乗せてしまうほど藁をも掴む状況ですので…
渚カヲル君の「希望は残っているよ, どんな時にもね」と言う言葉を信じましょう.
ミャンマーの暦では新年を迎えたばかりの夜に, 祈ります.

KIRIN and Myanmar

KIRIN and Myanmar

 皆さんこんばんは, シンです.
一昨日は地震大変でしたね. 10年前を思い出しました.
私は奇しくも10年前の震災時と同じ友人の家におり, 少し当時のトラウマを思い出しました.
幸い, 福島にいる仲間も体は無事だった様で, とりあえずは一安心です(職場は物が落ちて大変そうでしたが).
今のところ大きな余震は来ていない様ですが, 少しキナ臭い感じもするので, 念のため備えていましょう.
さあ今回もミャンマーについて語りたいと思います.
前回はクーデターの概要とその戦術的な話に絞って語ってきました.
今回は, 色々また分かってきた情報を元に, ミャンマーの国際関係的な今後の展望と日本の姿勢について述べていきます.

 まずはミャンマーの国際関係的な現状を話します.
アメリカのバイデン政権はミャンマー政府やその要人, また軍関係の企業に制裁を加えることを発表しており, EU諸国も基本的にそれに従う格好となっています.
ただこれは単純にアメリカ国内の資産を凍結したり, 輸出規制をかけるといった限定的なものなので, その実効性も限定的でしょう. ポージングの意味が強いです.
また日本を含むG7としても今回のクーデターへの批判を公式に発表しています.
それに対して中国は公には今回のクーデターに対して厳しい批判はしておらず, “平和的に解決することを願っています”という抑制的な態度を貫いています.
これは, 軍を支援するということを表立って発表してしまうと国際社会から総スカンを食らうだけでなく, ただでさえ中国嫌い率が異常に高いミャンマーの国民感情に更なる油を注いでしまうため, 大したことは言わない様に我慢しているというのが実態と思われます.
前回ポストでは, これまで中国との外国関係のみを実質的に重視してきた軍部の歴史的な姿勢と, 2017年以降のロヒンギャ問題を機に投資額を減らしてきたバカタレ欧米社会, そしてそこに更につけ込んできた中国の話をしました.
つまりこのまま軍政が続くことは, 西側社会からの投資減少, 中国からの投資増加および中国の属国化への道を辿ることを端的に意味します.
それにしても, もうここ数年ずっと思っているのですが, 欧米のアジア政策って, なんでこんなに音痴というかトンチンカンなんでしょうか.
欧米社会がこのままミャンマーが軍政を続ける限り投資をしない!という姿勢を貫くことで, 力の空白に中国が付け入る隙を与えるだけであることがまだ理解できていない様です.
地政学的にミャンマーが中国に取り込まれることのヤバさは以前のポストでも述べましたが, 中国がインド洋を通らず, またマラッカ海峡という地政学上のチョークポイントを通らずにアジアの海の覇権を握る手立てを与えてしまうのです.
そして実際に2017年に雲南省とミャンマー北部の国境を接している部分の資源パイプラインは完成し, 実質的に中国一帯一路の実現に大いなる貢献をしています.

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2019/asean2019_01_001.pdf

このパイプラインの何がヤバいかというと, 中央政府のあるネーピードーや最大都市ヤンゴンは避け, 中央政府とケンカをしていて簡単には手を出せない少数民族の自治政府の管理下を上手く通っている点なんですよね.
もちろん今回のケースは歴史的な関係性が深く関わっているので一概には言えませんが, 中央との関係性が上手くいっていない時に自治体レベルにアプローチするのは中国共産党の常套手段です.
実際ミャンマーの国民達も, その様な軍と中国の関係性を知っているため, デモの中で軍に対してだけでなく中国に対しての批判も数多く行っています.
そして裏に中国がいると気づいている国民は, 徐々に香港やタイなどの若者活動家たちと結託し始めています.
香港が中国共産党によって締め上げられてしまったことは周知だと思いますが, タイでも中国共産党の後押しする軍に抵抗する動きが活発化しており, その中国がバックにいる強硬的な組織に対する活動家たちで国際的な連携を取っている様です.
また東南アジア全体としても, やっとかよと思うのですが, 中国に対する信頼感情が落ち, 米国と日本に対する信頼度が上がっているという報告も出ています.
この動きには僅かながら期待を寄せておきましょう.

 さあここで, 日本について述べていきます.
結論から言うと, 日本勢が取るべき姿勢は, この断絶した欧米系(≒NLD, スーチーさん)と中国系(≒軍)の間を取り持ちつつ徐々に自由化, 民主化に導いていくことです.
これは, 欧米系にも中国にも, 一般のミャンマー国民にもできない, 日本にしかできないであろう大変な仕事です.
と言うのも, 日本は世界でも唯一と言って良いほど, 軍とNLD側どちらにもパイプのある国だからです.
もちろんスーチー氏側のNLDが政権を握ってからも投資を活発化させており, 2017年のロヒンギャ問題が起きミャンマー政府が欧米社会から袋叩きに遭った際にも, 継続して日本政府はある程度の理解を示してきました.
もはや中国にも欧米にもできない役割を, 日本は担うことができるのです(実はこのメッセージはロヒンギャ以降ずっとミャンマー政府が出していたヘルプメッセージでもありました).

https://www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2017/20170804_mmr-j.html

ミンアウンフライン司令官も当時の安倍総理を表敬訪問しています.
そう言えば先週, キリンホールディングスがミャンマー現地企業との合弁を解消することを発表しましたね.
この是非は, 正直なところ微妙です.
長期的に見れば, まあ民主化を応援すると言うことで良いのですが, 軍と関係のある企業全てを潰すという流れになってしまうと, あまりに劇薬で恐らく一番困るのはミャンマー国民です.
ちなみにキリンとしては, ミャンマーから完全に撤退するわけではなく, 新しい合弁先を探す様です.
ただ, この様に軍を完全に敵に回す形になってしまうと, ミャンマー国内で生き残っていけるのか不安です.
ミャンマーで国軍と上手くやらないというのは本当にかなり致命的なのです.
キリンの合弁ビールはミャンマー国内でビールの8割のシェアを持っており, 私が好きなミャンマービール(Myanmar Beer), ダゴンビール(Dagon Beer), マンダレービール(Mandalay Beer)も全て今後飲めなくなってしまうのでしょうか…
そう言えば現在, ミャンマー人の間ではこの様に軍に関係のある製品の不買活動が盛んになっており, 上記のビールも誰も飲んでいない様です.
そして実際に売り上げもガタッと落ちている.
週末に都内のミャンマー料理屋でミャンマービールを頼んだところ, 店員さんにも隣のお客さんにも少し怒られました笑
今は皆さんアサヒビールを飲んでいる様です.

こちらが問題となったミャンマービールです. 薄くてとても飲みやすいんですよね.

欧米社会は日本の今回の動きに姿勢に対してめちゃくちゃ落胆しており, アメリカ系メディアもヨーロッパ系メディアも日本を批判的に見ているのですが, 中国も日本のことを欧米寄りだー!とかなり批判しているので, 逆に日本の動きをかなり警戒しているのでしょう笑

 今回のクーデターが起きた遠因の一つとして, スーチー氏側のNLDとミンアウンフライン司令官などを中心とする国軍の主流派の人たちの間の関係性が断絶してしまったことが挙げられています.
これまでは前大統領のテインセイン氏などの軍の改革派の人たちがその調整役を担っていたのですが, 2015年選挙でそういった人たちが軒並み落選してしまったんですよね.
なので, この断絶状態を克服し, お互いの対話を調整していくことが日本政府には求められているのです.
タイの状況なんかを見ていると国軍の支配は長く続くのではないかと心配になる方もいるとは思いますが, これまで2011年以降権力移譲に積極的だった国軍の姿勢も鑑みて, 少しオプティミスティックに状況を見ていきます.
現在国軍は, 再選挙と権力移譲を約束しているので(まあこれが国軍の大いなる影響下にある状態で行われたらブチ切れますが), 一旦はそれを少し信じてみようと思います.

COUP D’ÉTAT

COUP D’ÉTAT

 こんばんは, シンです.
大変ご無沙汰しております.
プライベートの方で大変で, また暫く時間が経ってしまいました.
まだまだプライベートの方も落ち着きませんが, 書かないわけにはいかない大変な大事件が起きてしまったので書きます.
ズバリ今回は, 昨日未明に起きたミャンマーのクーデターについてです.
まず1. 概要 について, その後2. 簡単な解説をしていきたいと思います.

 まず1. 概要について.
今回の事件は, まず正確に言うとクーデターではありません.
別に大差はないのですが, 一応国際関係学および地政学などに関わる人間として, そこは明確にしておきたいと思います. 英語, もしくはスペイン語ではpronunciamentoと言います(日本語で何と呼ぶかは知りません).
世界三大戦略家の一人かつ, 世界唯一と言って良いであろうクーデター研究者のエドワード・ルトワック(Edward N Luttwak)氏もTwitter上でそのように述べています.

クーデターと言えるほど計画性があり賢いものではなく, 単に軍隊が議会などに侵攻しただけのぬるいもんだと言うのが氏の考えでしょうか. ※この点, 後で加筆・修正します
この細かい話は置いておいて, ことのあらましを簡単に書きます.
簡潔に書くと, 昨日2/1の早朝にミャンマーの軍隊が国家顧問のアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi) 氏やウーウィンミン (U Wint Myint) 大統領などをはじめとした政府側の要人を取り押さえ, 権力を掌握したということです.
これに伴い1年間の緊急事態宣言が発令されており, 副大統領のユーミンスウェ(U Myint Swe)氏が一旦大統領として君臨するらしいですが, 実質的には軍トップのミンアウンフライン(Mint Aung Hlaing)氏が握ります.
報道を見る限り民間人に死傷者が出ているという話はまだ出ていないですが, 首都ネピドーや中心都市ヤンゴン(ラングーン) では軍が道路を封鎖し, 議会なども抑えているようです.
また夜8時以降の外出を禁止したと, MRTVという国営テレビを通じて伝えた様です.
本来MRTVは国営テレビであり軍とは一線を画しているものでしたが, 現在では軍の持っているMWDと同じ内容を報じている様です.
ちなみに現在は国営テレビ以外の民放は見られなくなっている様です.
一時はネットワークも使えなかった様ですが, 現在は復旧しています.
https://www.mmtimes.com/news/myanmar-announces-state-emergency.html
https://www.bbc.com/news/world-asia-55882489
(一部現地の友人情報)

 次に2. 簡単な解説をします.
なぜ起きたのか, なぜこのタイミングなのか, 何がしたかったのか, このクーデターの評価について語っていきます.
経緯は簡単で, 昨年11月8日に行われた総選挙において, アウンサンスーチー氏が実質的に率いるNLDという政党が約8割もの得票を得たわけですが, それに対して軍はかねてより不正を主張しておりました. そして残念ながら彼ら軍の主張は既に選挙管理委員会によって却下されています.
アメリカ大統領選におけるトランプ陣営と似ており, 彼らは正式な司法の場において決定的な証拠を提示できなかったわけですが, それでもあいも変わらず不正を主張し続けていたわけです.
その不正選挙を主張していた急先鋒が新しく大統領に就任したウーミンスウェ氏であり, 元副大統領です.
彼は元々軍の高官であり, 軍の後押しによりスーチー政権でも副大統領の座に就いた人です.
https://www.irrawaddy.com/news/burma/myanmar-military-seizes-power.html
そしてタイミングも簡単で, ちょうど昨日2月1日が新しい会期初日だったからです.
ここで何もしないで2月1日を迎えるということは, 実質的に選挙結果を認め敗北宣言をしたに等しかったわけです(実際に敗北したんですが, トランプ陣営のQアノンやクラーケン信奉者達の様に, 事実や理論などは通じません笑).

 しかしながら軍がこのクーデターを起こした理由は何だと聞かれると, 正直「分からない」というのが本音です.
上記の様な事情により, 彼らにとって喜ばしくない状況であったことはご理解いただけたかと思いますが, わざわざクーデターを起こす必要があったのか, クーデターを起こして何を実現したかったのかは微妙です.
というのも, 2008年に施行された憲法によれば, どれほどNLDが人気を博しても軍は25%の議席は担保されているからです. そして憲法改正には75%の賛成票が必要であり, 軍の中から造反が出なければ憲法改正などできません.
実際2015年にも選挙がありNLDが大勝しましたが, 一応NLDは法を遵守する意識があるので, しっかり25%の議席は軍が持っておりました.
NHKのバンコク支局の人が, ロヒンギャ問題で海外からの投資が滞っていることに軍が見切りをつけたと言っていましたが, 全然納得できません笑 彼は本当に軍と中国の関係, 西側諸国とNLDが歩んできた民主化の歴史を知っているのだろうか…
BBCではそれでも驚きとして捉えているとは結んでいるものの, 国の父たる軍が選挙でここまで大敗するとは思っておらず, 恥をかいた軍が躍起になってクーデターを起こしたと解説しています. いや, そんなことでこんな国民をますます敵に回す行動を起こすだろうか…
戦前の日本で起きた2. 26事件も似た様なクーデターですが, 今回の件と決定的に違うのはしっかり軍のトップの人たちが先導している形になっていることです.
一般的に軍のトップの人たちは実際の戦場の凄惨さを理解しており, また賢い人たちなので感情に流された非戦略的かつ過激な行動は慎む傾向にあるというのが世界の常識です.
ということで, 正直あまりしっかりとした理由は分からないというのが現状です.

さあ次にこのクーデターを戦略的, 戦術的な観点から評価してみます. ※この章は後に加筆・修正します.
まず戦略的に言うと, 彼らのモチベーションが分からないので, はっきりしません.
明らかになっている情報だけを元にしている限りは, 今回クーデターを起こしたこと自体が戦略で負けているので軍になっているプラス要素はありません.
具体的には, 国家のシンボル的存在であるスーチー氏を捉えたこと, 国民に多大なる迷惑をかけていること, そして憲法が改正される恐れが低いということが挙げられます.
少し陰謀論チックな仮説に基づいた戦略の考察は, 次項に譲りたいと思います.
戦術的には, 冒頭でも述べた通りこれは学術的にクーデターではなく, pronunciamentoと呼びます.
これは聴き慣れないものかとは思いますが, 90年代に南米で起きた物が近く, 軍全体が国家権力を奪うことを指します.2014年にタイで起きたものもこのpronunciamentoに入ります.
クーデターは2.26事件や2016年のトルコで起きたものがクーデター未遂と呼ばれるもので, イメージしやすいかと思います.
こちらは軍全体ではなく, 軍の中の一部が反乱を起こし, トップだけを代えて基本的な国家の運営組織や方法などは変えない物を指します.
ちなみにクーデターが成功し, 彼らの実現したい何かしらが達成できる可能性が低いですが, 今後の進み方次第では案外統治を長引かせることはできるかなと思っています.
現状のショボいところは, ここまで国民を敵に回している事実, 情報統制が甘い, 国家のシンボルたるシュウェダゴンパゴダを占拠していないこと(報道を見る限り)などが挙げられます.
逆に現状で優れているところは, 空港を封鎖し占拠していること, スーチー氏を捕らえていることなどでしょうか.
今後はSNSを禁止にし, 今やっている通りの国営テレビのみを続けること, 中国の全面的な支援を受けること, シュウェダゴンパゴダを占拠し, スーチー氏に軍による統治を認めさせることができれば, 案外成功する可能性はあるかと思って見ております.
簡単にそれぞれ解説すると, 国家のシンボルを陥すことは国民の心を挫くのに有効です. 空港を封鎖することは敵対的な外国勢力(ここでは主に西側諸国)の排除に有効です. 情報統制の効果はお隣の中国をご覧頂ければ明らかです.
案外西側諸国を中心とした国際社会からのバッシングおよびFDI(対外直接投資) の減少は大きな影響を与えないかなと思っています. もちろん国民生活の水準と国民感情は悪化するでしょうが, 何十年にも渡って西側諸国と断絶し中国とのみ非常に仲良くしてきたのが軍です. また経済発展は民度を上げてしまうので, 国民が貧しい方が軍としては打倒の対象にならなくて良いのです.
クーデターの技術的な話については, 前述のルトワック氏のクーデター入門を是非お読み頂ければと思います.

※追記(2021. 02.24) クーデターの戦術的な部分に明らかな認識違いがあったので, 加筆・修正しました.

さあここまで見てきた様に, まだ何が起きているのか, 何がしたいのかははっきり分かりませんが, しっかりと続報も注視していきたいと思います.
日本人にとっても決して他人事ではありません.
このまま軍の統治が続くことは, 前述の通りミャンマーがますます中国に飲み込まれる可能性が高く, またお互いに接近するだけのモチベーションがあります.
一般論として私は独裁が100%悪で民主主義が完璧だなどのナイーブなことを言うつもりはありませんが, 今回はミャンマー国民のほとんどが反対しているという点で, 精神的にはミャンマーの民主化を後押ししていくべきでしょう.
ただ, そのプロセスの点では様々歴史的な背景などがあり, 完全にNLDのみを支援すれば良いというわけではありません.
この支援のプロセスについては次項で詳しく書きたいと思っていますが, まずは私の以前のポストをご参照頂ければと思います.

 最後に, ミャンマーの自由と民主化を祈念して結ばせていただきます.
また次のポストでこの話題について取り上げていきます.
#justiceformyanmar
#save_myanmar

こちらの画像は最近若者を中心に回っている画像です.